2010年よりマグネットワイヤの塗料メーカからのご好意でソーラーカー用モータ(電気自動車用モータ)のマグネットワイヤ共同開発の機会を得ることができた。所謂、「産学連携」で企業と大学が連携してものづくりをしようというスタンスです。
ソーラーカー用モータは自然空冷で、もともと電流密度は低めの設計なので発熱に関しては今まで特に大きな問題はなかったのですが、効率を考えると熱引きという課題、それに占積率向上という観点から、前々からマグネットワイヤの再選定や何かしらの改良をモータに加えないと思っていたところでした。 引き合いを受けて、すぐに放熱性マグネットワイヤの共同開発をすることで合意。 近年、インバーター駆動モータが増えたことによる耐サージ性や高出力化、高効率化によるワイヤの放熱性といった課題は、電気自動車用モータだけの課題だけでなく回転機メーカー、産業界全体の課題らしいです。 いい機会だと思って、足を突っ込んでみたのですが・・・開発が始まってみると大変!!! マグネットワイヤ一つとっても、すそ野が広いです。 例えば、塗料に関しては高分子工学、材料工学といった知識が必要です。 ワイヤのサージ性については、高電圧工学がわかっていないといけません。 そのほか、熱力学も必要でしょう・・・ そして、当然モータのことは熟知していなくてはなりません。 しかし、私自身とてもいい勉強になりました。 マグネットワイヤの選定など今まで無条件にAIWを選んでいましたし、膜圧についても特に気にすることはなかったですが、材料や膜圧を自由に設計できるようになって考えは変わりました。 また実際に、マグネットワイヤの製造現場まで出向いて工場見学などもしました。 モータから始まって、マグネットワイヤをつくるところまで経験することはなかなかないでしょう。 ここでは、マグネットワイヤの選定や製造工程、設計に役立ついろはについて紹介します。
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